ブレゲ クラシック パワーリザーブ ムーンフェイズ ディスクカレンダー 3137BB/11/286を入手した

ブレゲクラシックシリシオンを入手した際に,ブレゲの他の時計もいろいろと物色していた。

サイズを36mmから38mm程度に絞ってChrono24で検索していたが,カレンダーモデルの3137BBが良さそうだという印象を持った。

過去の販売実績を見てみると,定価は500万円超,シースルーバックモデルとソリッドバックモデルがあり,シースルーバックモデルは彫金のものとギョーシェのものと,どうも3種類ほどモデルがあるらしい。

彫金モデルはレベルソプラチナサンムーンに匹敵するかそれ以上の美しさで,機会があれば買おうかという気持ちになっていた。

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Chrono24で3137のホワイトゴールドモデルがチェコの業者から出ていたが,どういうわけかDバックルがプラチナで(ブレゲのDバックルはプラチナだと50万から60万ぐらいするはず),かつ状態もかなり良さそうであったため近いうちに買うかと思ってリストに入れて一週間ほどしたら売れてしまっていた。プラチナバックルがついて200万円弱だったので相当お値打ちの個体だと思っていたが,同じことを考える人間は世界の中に当然いるということか。なお,今回に限らずChrono24において東欧からの出品物は価格面で魅力があり,かつ時計の状態もよいものが多い印象なため,密かに着目している。

そんなに競争率高いのかと驚いていろいろと調べたところ,大阪の業者がやや状態は落ちるが同じモデルを販売していることが判明した。その業者にコンタクトを取ったところ,既に店頭で売れてしまっているとのこと。二度目の失敗である。

これはもう見かけ次第入手するしか方法はなさそうだと考えていたところ,ひょんなところで個人コレクターの方が売却するのを覚知した。その方に聞いてみたところ直近のブレゲによるメンテナンス明細はあるが,箱や保証書はないとのことであった。ただ私は時計が欲しいのだから本体があれば余りこだわらない。無事に200万円をやや超える金額でお譲りいただけることになった。

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クラシック パワーリザーブ ムーンフェイズ ディスクカレンダー 3137は,3130の後継機で,いずれもブレゲ自身が作製した懐中時計であるNo.5に範を取ったデザインであるとのこと。

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このことは購入した後で知ったが,一般的な他社のカレンダーモデルとは配置が全く異なるのに魅力があるのはそういうことかと納得した。

3137のケースサイズは35.5mmということだが,ブレゲの特徴は狭いベゼルである。35.5mmのケースサイズながらベゼルが狭いため文字盤のサイズは他社の38mm~39mm位なので,小さい時計という印象はまったくなく,極めて適切なサイズ感である。

また5種類のギョーシェが文字盤に使われており,文字盤の反射を抑えながら華やかさを演出している。

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リューズが小さいのはエレガントさの醸成に一役買っているが,やや操作しにくいというのが正直なところ。

時分針はかなり細くとても繊細。そしてギョーシェ文字盤と青針の組み合わせで視認性は極めて良好。

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パテックフィリップの3940は初期型ではないが,いずれも広田編集長の「上がれるかもしれない時計」。

私は入手を目論んでいるものがまだあるので,そういうことは先かな。

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さて3137は裏面が本体と言っても過言ではない。

3137では彫金がされていないシースルーバックモデルと,ムーブメントが見えないソリッドバックモデルもいずれも私には選択肢として上がらなかった。彫金ありのシースルーバックモデル,綿密に細工が施されていて,光の反射もかなりあるため最初に実物を見たきには後光がさしているのかと見まごうばかりだった。定価500万円超のかなりの部分のコストが彫金の細工に注ぎ込まれているのではなかろうか。

ブレゲ クラシック パワーリザーブ ムーンフェイズ ディスクカレンダー 3137はイエローゴールドモデルも対象に含めれば,年に何本か出回っているようだ。相場は今のところ200万円前半といったところか。Chrono24ではホワイトゴールドモデルが300万円近くで出品されているが,現段階では相場よりもやや高い印象。

なおポルトガルから非常に珍しいプラチナモデルが1000万円弱で出品されているので,もし興味があればコンタクトを取っても良いかもしれない。

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といっても見た目はホワイトゴールドモデルとほとんど変わりないので,どうしてもプラチナでないと我慢できないという方向けになってしまうが。

時計をメンテナンスに出した

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時計の数が増えてきたので,Googleスプレッドシートで時計を管理するようにしている。

購入日を記入しておいて,別のセルで+1826(すなわち365*5+1)しておけばオーバーホール時期も明確になる。

ワールドタイムとレベルソがメンテナンス時期に来ていたのと,eBayで購入したショパールLUC Quatroがメンテナンス未了だったため,ネクストステージにオーバーホールを依頼した。

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ただ,オーデマピゲについては現在取り扱いがないということで断られてしまった。

実は以前エクストラシンを購入した際にいったんネクストステージにメンテナンスを依頼したが,パッキンが劣化していてオーデマピゲに依頼してくださいと言われたことがある。

その直後にオーデマピゲに持ち込んでオーバーホールを依頼したが,オーデマピゲ側でチェックをした紙に他社オーバーホールの痕跡と書かれていた記憶がある。どういう訳かオーデマピゲでは他社でメンテナンスしたことがわかるらしい。何かムーブメント側に開けたことがわかるような仕組みをつけているのだろうか?

そういう訳で,ロイヤルオーク15450STはオーデマピゲに持ち込むことが必要になる。

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それとノーチラスについてもメンテナンス時期にさしかかっているが,こちらもメンテナンスについて迷っていることがある。ノーチラスは中古で購入したのだが,以前の所有者がいくつかベゼルに打痕をつけていて,少し目立つのだ。

ベゼルを交換すると100万円ほどのようだが,メンテナンス含めて青山のスフィアで依頼することも考えている。

しかしノーチラスは良い時計なのだが,プレミアがついた価格で手に入れたと思われるようだ。つけていると時計店の方からはやたら高い時計をしている人間と認識されてしまうため,どうも居心地が悪い。店員の方からトゥールビヨンすごくいいのでいかがですか,と言われても困惑するばかりである。

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時期としてはプレミアがつく前に欲しいから買ったので,定価よりも安く購入している。購入当時はこのようなむちゃくちゃな状態になるとは当然予想もしていなかった。なお手元の資料を見ると2006年のRef.5711初出時は200万円程度の定価だったようだ。

ここまで過熱してしまうと,天邪鬼なものでつけるのが億劫になる気持ちもある。そういう意味ではRef.5800のほうが変化球であっている気もする。

手放すとなるとメンテナンスは不要であるが,もう少し方向性は考えようかと思う。

ブレゲ クラシックシリシオン 5177BB/29/9V6を入手した

昨年6月末に,サクソニアを買うために東京に出て以来,一度も東京に行っていない。

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昨年末にまたセールになっていたJohnLobbを購入してそのまま手つかずになっていたのと,時計関係で必要があったため,短時間にまとめて用事を済ませることにした。

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三越本店で,ラバー貼り付けの依頼。写真には写っていないが,履いている靴で補修が必要なものも依頼をしておいた。

RESHで聞いたところ,配送で依頼をするときは細かい内容をメールやLINEで打ち合わせできるとのことなので,次回からはそうしようと思う。状況改善には時間がかかりそうだし,なにより数が多くて持参するのも一苦労なのだ。

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日本橋から中野へ向かう。

実は少し前までChrono24でランゲ1デイマティックを買う算段をして,発注後カード決済までしていた。

しかし,個人販売者のフランス人がカード決済した後になって海外に売るのはいやだ,もうフランスの店舗に委託販売をしたと言い始めて売買がキャンセルされてしまったのだ。海外に売却するのがいやなら最初からChrono24に出品するべきでないし,相手方に決済させてから店舗に物品を持ち込むなど理解しがたい経緯だったが,仕方がない。

ただ私も初めて知ったが,Chrono24では業者販売の場合は手元に時計が来てから問題があれば返品可能だが,個人販売者から購入する場合は時計に問題があったり極端な場合偽物であっても,返品できないルールだそうだ。

これまでオーデマピゲやショパールの時計などを数度購入したときはいつもきわめてスムーズに取引できたが,販売者が業者か個人かはやはり大きいということか。

デイマティックの購入が不可能になってしまったため,いろいろと思案したが,以前から候補の一つとして考えていたブレゲ クラシックシリシオンを物色することにした。

シンプルな三針で端正な文字盤,かつエナメル文字盤というスペックは文句なし。

ネット通販でも物は出ていたが,エナメル文字盤ということが気になる。というのも,エナメル文字盤は製品によってはかなり質にばらつきが出ることがあるらしく,実物を確認しないと良くない個体をつかむ可能性があるのを懸念していた。エナメル文字盤の時計はこれまでいくつか見たことはあるので,少なくともダメかどうかぐらいは判断できる。

中野に現物があることはわかっていた。つまり中野で実物を確認してよければ買うし,ダメなら買わない。

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中野で目星をつけていたブレゲ クラシックシリシオン 5177BB/29/9V6を確認させて貰ったが,想像以上に魔力のある文字盤だった。写真だとただのシンプルな時計にしか見えないが,実物の文字盤はとても華がある。さすがに三針で300万円近くの値段設定は伊達ではない。それと秒針が非常に細いのは大変好み。

2014年に販売された個体で購入年から時間が経過しているということからか,中古品としても安価な値段設定。他所よりも安い値段設定だったので,何か問題でもあるのか?と思って実物を見てみたが特にそういうところは見当たらなかった。

当時の定価がわからないが,もしかすると2021年の定価2,827,000円よりも2014年当時は安価だったので,その分買取金額が低くなっているのだろうか。

30秒ほど確認して買うと告げたところ,早いですね,と店員の方に驚かれてしまった。

この後,某所でブルーの文字盤も確認したが,こちらもかなり良かった。さすがに同じ日に,同じ時計の色違いを買うのもどうかと思って購入はしなかったが。

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最後に,ジャンルソーでクロノトウキョウのクロノグラフのベルトをオーダーして,帰路についた。

本当はいろいろゆっくり見たいものもあったのだが,駆け足ですませることに。ベルトも取りに行けるのはいつになることやら。

パテックフィリップ ノーチラス 男性向け3針ステンレスモデルはすべて廃盤に

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パテックフィリップ ノーチラス 5711/1A-010が廃盤となる。

swisswatches-magazine.com

昨年の時点でパテックフィリップ ノーチラスの白文字盤モデルは廃盤となっていたことから,ブルー文字盤モデル(5711/1A-010)についても廃盤になるのではという噂はあった。

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またパテックフィリップのティエリー・スターン社長はステンレスモデルがブランドの顔となることについて従前から否定的だった。

www.hodinkee.jp

ゴールドないしプラチナモデルのほうが,社会通念としてはステンレスよりも希少で価値があると認識されている。ブランド価値を維持するためにはブランドの権威(それは希少性や神話などによって形作られる)が絶対に必要不可欠であるが,ステンレスでは何かの拍子にその権威が維持できなくなることを恐れているのだろう。

それともう一つ,はっきりと言明されていないがステンレスモデル,特にステンレススポーツモデルについてブランドが懸念していることがあると思われる。

ステンレススポーツモデルがこれだけ隆盛しているのは,ファッションのカジュアル化に起因するという指摘がある。

カジュアル化というとわかったようでわからない説明だが,もう少し具体的に言えば「着用者が気を遣わなくて良い格好」が好まれていて,マスもそれを求めているということだ。

ステンレスモデルが現在好まれているのは,「ゴールドモデルだと傷がついてしまうが,ステンレスモデルではあまり傷もつかず,気を遣わなくて良い」という理由がかなり大きい。

「傷がついてしまう,傷があまりつかない」ということはどういうことだろうか。

それは「着用者が傷をつけてしまうような環境にいる」ということだ。

すなわち,「着用者は腕を使用して,自ら何か行為を行い,働く者」である。

翻って,ゴールドモデルでも傷がつかない生活をしている人間とは,「着用者は自分で動かず,他人に行為をして貰い,働かない者」ということになる。

ハイエンドブランドとしては製品を後者に買ってもらいたい。

そのような人物が主な購入者であるということは,ブランドの権威を強化することはあっても弱めることはないのだから。

機械式時計,特にハイエンド側の製品は他者に対して,同じ機能を有する製品が数百円で手に入るのにもかかわらず機能的には不要な物品に対して着用者が多額の出費をすることが可能であることを知らしめるという一側面がある。

購入者がこの側面を無意識的にか意識的にか認識していることで,ブランドの権威が維持され購入意欲がかき立てられることは否定し得ないし,そのような者が購入者のうちかなりの数として存在していることは間違いない。

そしてみずから働く者が購入している者のうち多数になる,もしくは多数だと認識されてしまうことは,ブランドの権威に劣化を引き起こしかねない。

実際には,ブランドの売り上げのうち屋台骨となるのはローエンドの製品であることが多い。機械式時計も,複数本所持している人間はかなりまれで,一本のみの所持者の方が多数であることは間違いないだろう。生活する上で,時計は一本あれば足りる。

しかしローエンド製品が主力であるというイメージがつくことは,ハイエンドブランドとしてはなんとしても避けなければならない。

ノーチラスのステンレス三針モデルが完全に廃止され,ゴールドモデルにとってかわるという決断の裏には,ブランド維持という至上命題が隠れているとみて間違いないだろう。

新規のゴールドモデルの定価だが,ノーチラス5711/1P 40周年プラチナモデル(インデックスはダイアモンド,ただ40周年の文字が致命的に格好悪いと私は思っている)が税抜き1236万円であったことからすると,これよりは低いのではないだろうか。

getnavi.jp

ステンレス製よりも当然プレミアはつくであろうから,何の根拠もないが,700万円~1000万円の間くらいに設定してきそうな感じがある。

ステンレスモデルのノーチラスだが,今の二次流通価格が高額なのかそうでないのか,判断はつけにくい。ただ,二次流通価格の変動はあっても,定価を割るようなことはないのかもしれない。