また革靴のアッパーに傷がついたので,補修することにした。
Santoni(サントーニ)のパンチドキャップトゥ。排水口で引っ掛けてしまった。
JohnLobb(ジョンロブ)のPHILIP 2(フィリップ 2)。コンクリートの階段をのぼるときに階段の垂直面で擦ったらしい。
前回同様,アドカラーとヘラの代替物を用意。
前回の補修経験を踏まえて,今回の目標。
・アドカラーの使用量を最小限に抑える。可能な限り傷を埋める部分以外には使わない。
・サンドペーパーもできるだけ使わない。
アドカラーを使うと,どうしてもその部分の質感が変わってしまう。手入れすれば気にならなくなるが,気にならなくなるまで手入れをする手間が増えることになるのは,できれば避けて面倒をなくしたい。
とすると,そもそもアドカラーを塗った部分を少なくするのが一番ということになる。
また,サンドペーパーを使った部分もやはり質感が変質してしまうし,クリームを塗っていない層が出てしまうほどかけてしまうと,色合いをもとに戻すのがかなり大変だ。これを避けるためにはやはりサンドペーパーをかける度合いを減らすしかない。
というわけで,アドカラーは一度にこれしか使わない。
傷がついている部分にだけ塗り込む。
その上でヘラないしヘラの代替物で,余分なアドカラーをこそげ落として,平らになるようにする。
アドカラーが乾いたら,1000番のサンドペーパーで面を均す。
サンドペーパーをかけて,まだ凹みが残っているようであれば,表面をアルコールティッシュで軽く拭いてから,再度最低限のアドカラーを塗り込む。
サンドペーパーをかけて,面一(ツライチ)にできれば完了。だいぶ良くなった。
サンドペーパーをかけるときには,革をこすらずに表面上のアドカラーをできるだけ除去するように心がけてかけるようにする。革とは明らかに質感が違う部分があるので,こすり落とす感じで落としていく。
サンドペーパーをかけるときには,あまり力を入れすぎないくらいが丁度よいと思う。
サンドペーパーをかけ終わったら,ブラシで軽く払って汚れを落とす。
サンドペーパーかけが終わったら,靴の補色をする。
クリームをたっぷり取って,サンドペーパーを掛けた部分を中心に塗り込む。
かなり塗り込んでも,あとで余分なクリームを落とし切るので問題ない。サンドペーパーをかけて色落ちしている部分の補色と,アドカラーを塗り込んだ部分をぼかして誤魔化すためには,ここでクリームの量が必要になる。
クリームが落ち着いたら,馬毛のブラシを強めにかけて余分なクリームを落とす。
馬毛のブラシをかけると,最後の方には表面に線が出てしまう状態になるので,そうなったらきれいな乾いた布で乾拭きする。
クリームを均したところで,クレム1925をつけてクリームを落としつつ油分を加える。
クレム1925も落ち着いたところで,馬毛のブラシでブラッシングして完了。
作業開始からだいたい1時間ほどで二足終了。
言われなければ気がつかない程度にはなった。履いているときには目線と足元には距離があるので,ほとんど気づかれることはないだろう。
作業前と作業後を比較すれば,アッパーの傷の補修効果は一目瞭然。
やはりアドカラーとサンドペーパーの使用は最小限にしたほうが良い結果につながることもはっきりした。作業時間も減るので,塗布のときにできるだけ注意して必要な部分のみに塗り込むことが肝要だろう。
アッパーの傷についてはできるだけつけないように気をつけているのだが,靴の数も多いし日常的に使用していればどうしても避けられない傷がつくこともある。そのときには,補修材を利用して補修すれば傷がなかったときと同様に履き続けることができるだろう。